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年下の上司 story14〜Feburuary@

陰謀渦巻く職員旅行(11)


 なんだろう、この音。
 ぽつん、ぽつんと落ちてくる雨音みたい。
 オルゴールより、もっと深くて、どこか寂しい余韻があって―― 。
 果歩は、薄く目を開けた。
 窓に背を預けたりょうの姿が、まず見えた。
 彼女はうつむき、膝に抱えた楽器のようなものを指で弾いているようだった。
 なんだろう。三味線……?
「―― 果歩?」
 目を覚ました果歩に気付いたのか、りょうが顔を上げて膝ですり寄って来た。
「目が覚めた? このまま朝まで起きなかったら、どうしようかと思ってた」
「え? 私、なんで寝てたの?」
 逆に混乱して果歩は訊いた。
 ここは―― 避難していたりょうの部屋だ。と、いうことは今までのことは全部夢?
 果歩は急いで目のあたりに手をやった。硬いフレームが指に触れる。……眼鏡。
「外してあげようかとも思ったけど、起きた時何も見えなかったら、パニックになると思って」
 りょうは、笑うような口調で言った。
 過去、りょうの部屋でそういうことがあったので、果歩は何も反論できずに咳払いした。
「てゆっか、もう少し待っててくれたら、眼鏡で出ることなんてなかったのに」
 はい、と手渡された見慣れたプラスチック容器。果歩は仰天して顔を上げた。
「悪いけど、ケースだけ鞄の中から探させてもらったわよ。コンタクトって、あまり素の状態で外に出してたらまずいんでしょ」
 透明なケースの中では、二つのレンズが華奢な光を放っている。
 てか、なんで……?
 いったいいつからいつまでが夢で、何が現実だったんだか―― 。
 呆然とする果歩を、りょうは面白そうな目で見つめている。
「一応、消毒してからあわせた方がいいと思うよ。ほぼ間違いないと思うけど、果歩のじゃないって可能性もあるから」
「どういうこと……?」
「左右も、どっちがどっちだか判んないしね」
 りょうはそれだけ言って立ち上がった。
「水飲む? 喉乾いたでしょ。お腹すいてるなら、何か取ってくるけど」
「ううん……」
 果歩はぼんやりと首を振って、りょうが用意してくれたグラスを受け取った。
 一体、何がどうなっているのか……。
 確か、眼鏡で宴会に出て―― そこまではぎりぎり覚えているんだけど。
 もしかして酔っ払った? まさか、お酒はそんなに飲んでないはずだ。
「探してくれたのは前園君」
 りょうの声が、果歩を再び現実に引き戻した。
「使用済みタオルの山の中から、執念で見つけ出したらしいわよ。てか、どれだけ重い人なの、彼って」
「……晃司が?」
 水を飲もうとした果歩は、そのまま手を止めて絶句していた。
「……どうして?」
「そりゃ、果歩が好きだからに決まってるじゃない」
 りょうは意味深な笑いを浮かべて、傍らの楽器を取り上げた。
 三味線だ―― 。果歩はようやく気付いている。本物を見たのは初めてだが、相当古くて薄汚れている。
 同時に、果歩は今さらながら、晃司が夕方から行方不明だったという話を思い出していた。
「前園君なら、用事があるって灰谷市に帰っちゃった。……お礼なら、役所で会った時でいいと思うよ」
「うん、でも……」
 果歩はうつむいて言い淀んだ。使用済みタオルの中からコンタクトを探すなんて、それがどれだけ大変なことか……。
 りょうに言われるまでもない。彼にそんな真似をさせてしまったのは、果歩のずるさ―― 優柔不断さだ。
 晃司を失いたくない。彼を傷つけることなく、ずっと今みたいに仲のいい関係でいたい。どこかでそう思っていたから―― 。
「心配しなくていいよ。前園君も、果歩と同じ気持ちだから」
「え?」
 りょうは、膝の上で三味線を掻きならした。
「友達でいいから、彼も果歩の傍にいたいと思っているんだよ。ただ、負けを認めるのが怖いから、無駄に意地張ってあがいてるだけ」
「…………」
「彼は、きっと、勝ち負けでしか自分の価値をはかれないんだろうね。……私も、人のことは言えないけど、……まぁ、なるようになるんじゃない。お互い、相思相愛なんだから」
 ――りょう……。
「なに、人の顔、まじまじと見て」
「だって、……りょうがいつになく優しいから」
「私はいつだって優しいでしょ」
 その時、ぱちんと何かが鋭く弾ける音がした。
 りょうは三味線から指を離し、それを唇に持っていった。
「糸、切れたの?」
「もう、何年も手入れしてなかったからね。……お母さんに叱られた気分。あんた、人をえらそうに説教できる立場なのって」
 三味線を丁寧にケースの中に収めると、りょうは立ち上がって窓辺に視線を向けた。
 外は暗い夜だった。窓ガラスが曇っている。雪の断片がガラスに舞い降りては儚く溶ける。
 りょうはしばらく動かなかった。
 その背中は、出逢ってから今までで、一番美しく、寂しげに見えた。
「ここね、私の部屋だったの。……正確には私と、お母さんの部屋」
「そうなの……?」
 果歩は、多少の戸惑いを覚えつつ、お世辞にも手入れが行き届いているとは言い難い六畳間を見回した。ひなびた柱、焼けた畳、襖も半ば変色している。
「私が小さかった頃、この階にはお母さんみたいな綺麗な人が何人もいてね。夜になると着物来て、三味線を持ってお座敷に出て行くの。あの頃の私は、お母さんみたいになりたくて、夜中にこっそり三味線を弾いたり、着物を着てみたりしたものよ。でもバレちゃってとんでもなく叱られた……。その理由は、少ししてから判ったんだけど」
 りょうは、夜に手をかざし、雪を受け止めるような仕草をした。
「時々、お座敷が引けても帰って来ない夜があって、ようやくその意味が判ったの。つまり母は枕芸者だったってわけ。芸者しながらお客も取るの。そりゃ、娘に真似されたくはないわよね」
「…………」
「昔は、この辺りにそんな宿は沢山あって、色好きには有名な宿場町だったそうよ。母は……そういった時代の、最後の名残だったのかしらね」
 振り返ったりょうの微笑には、悲しみとも諦めともつかない不思議な表情が滲んでいた。
「それでも母が幸運だったのは、斜陽とはいえ旅館の当主の後添えに見出されたことかしら。もちろん、周囲は猛反対……でも妹が生まれた頃から、祖父母は何も言わなくなった。ただ、私にはそこからが地獄だったんだけどね」
「……どういうこと?」
「何も知らない妹に、母の過去を知られたくないじゃない。今思えば、どんなに隠しても何かの形で耳に入るものだったんだけど、……あの頃は必死だったな。なにしろ前妻の息子が、いつだって私たち母子を殺してやりたいって目で見ていたからね」
「…………」
 もしかして、それは、昼間会ったりょうのお兄さん……?
 感じはよかったものの、その双眸に言い知れない暗さを感じた、あの男だろうか。
「妹に物心がつくようになってからは、私は、義兄の言いなりよ。奴隷よりみじめなものだった。家を出てからもしばらくは、あの男の悪夢にうなされて目が覚めるくらい。―― 男性不審なんて生易しいものじゃなかったわ。殺されるかもしれないって何度も思った。むしろ、恐怖に近い感覚だったのかもしれない」
「何、されたの……?」
「色々よ。……ただ、今思えば、根っからの悪人でもなかったような気がするけどね」
 りょうは不思議な微笑を浮かべて、視線を再び窓の外に向けた。
「それでも、義父が生きている間はまだマシだったかな。……死んじゃったのよね、私が小学六年の春に」
「…………」
「妹は祖父母に溺愛されてたけど、祖父母と私はこれっぽっちも血の繋がりがないからね。ただ、全寮制の学校に入れてもらったことには、感謝しなくちゃいけないと思ってる。身一つで家を追い出されても、文句の言えない立場だったわけだし」
「……りょう」
 胸が重苦しさで一杯になりながら、果歩は立ち上がっていた。
「もしかして、今回のお見合いを決めたのは、そのお兄さんに勧められたからなの?」
「そうだけど、それは20歳を超えた妹を守るためでもなんでもないのよ。……ううん、最初はそう思ってたけど、多分違う。私、……どこかで自分をとんでもなく貶めてたの。どんなにえらそうな顔をしても、どれだけ出来る女を装っても、しょせんは、枕芸者と客の間に出来た娘なんだって」
「…………」
 果歩は顔を背けていた。
 堪えようとした涙が滲み出たのは、りょうにそんなことを言わせてしまう運命への、なんともいえない憤りと悔しさからだった。
 彼女はまだ小さな子供だった頃から、何度も何度もその誹謗を受け続けて生きてきたのだ。
「その現実から目を背けたら、自分も母も、否定することになるじゃない? だから受け入れようとするの。でも、受け入れちゃうと……なんだか、自分が、とんでもなく汚れた女になるような気がして」
 外を見つめたままのりょうが、唇を噛みしめるようにして泣いているのが、果歩には判った。
「普通の幸せが欲しくて、一生懸命人を好きになろうとするんだけど、両思いになりそうになった途端に、実は私から逃げてるの。……果歩もよく知ってるでしょ、最後まで引きずるのは望みがなさそうな相手ばかり。……それ、きっと無意識にやってるのね。本当は私、男の人が怖くて怖くて仕方なかったから」
 果歩は片手で涙を拭い、りょうは両手で盛大に拭った。互いに顔をあげたとき、何故か同時に笑っていた。
「果歩が無駄に泣くから、つられちゃったじゃない」
「嘘、今回はりょうが先だったよ」
 もう一度笑うと、照れたように視線を逸らしたのはりょうの方だった。
「……お腹空いたな。お菓子でも用意してればよかったんだけど」
 あ―― と、果歩は不意に思い出していた。
「私、持ってる」
 ごそごそと旅行鞄から取り出した包みを見て、りょうが不審そうに眉をあげた。
「それ、藤堂君に渡すものじゃないの?」
「ば、バレバレですか。……いいよ。どうせ明日も渡す機会なさそうだし、彼にはまた作るから」
 それに、今はりょうと2人で食べたいから。
 多分、舌が溶けるほど甘いチョコレート。
 りょうは再度固辞したが、果歩はそれを無視して包みを破った。
「……やれやれ、似た者同士の2人ですこと」
「え?」
「なんでもない。果歩と藤堂君がお似合いってことよ。うわっ、ベタ、今時中学生でも、ハート型のチョコなんて作らないわよ」
「わ、悪かったわね」
 果歩は急いで、大きなハート型のチョコレートを二つに割った。
 少しだけ胸がいたんだけど、きっと藤堂さんも許してくれるだろう。
 今だけは、自分の心を大切な友達に寄り添わせていたいから―― 。
 
 *************************
 
「えっ、諦めちゃうの?」
「お姉さん、声が明るいですよ」
 鏡に向かって髪を梳かしていた長妻真央は、肩をそびやかして、鏡越しの須藤流奈を見た。
「晃司君のことなら諦めます。もう、完全に望みがないって判りましたから」
 女性用にあてがわれた部屋―― 。
 敷かれた布団は4組だが、部屋にいるのは2人だけである。
 的場果歩は宮沢りょうの部屋に行ってしまったし、百瀬乃々子は、トイレに出たきり戻らない。
 真央は鏡で髪を梳かし、布団の上にでんと座った流奈はパックに余念がなかった。
「でもなんで諦めるの? 的場さんと晃司君なら、百パーセント上手くいかないと思うけど」
「そっちは全然」
 真央は小馬鹿にしたように肩をすくめた。
「そっちのお姉さんが相手なら、真央、いっくらでもかきまわして別れさせる自信あるんです。感覚的に、しっくりこないカップルっているじゃないですか、まさにそれですよ」
「まぁ……そうかもね」
 そこは、思い当たる節がある流奈である。
「逆に、両思いじゃなくても、ぴったりくる2人っているじゃないですか。真央、そういうのに結構敏感なんです。例えば的場さんと藤堂さんの間になんか、入りたいとも思わないし」
「…………」
 そこは、言葉が出てこない流奈だった。
「あのお姉さんを初めて見た時……」
 真央は、鏡を睨むようにして続けた。
「ちょっとそのあたりのアンテナが、ぴくっと動いちゃったんですよね。だから最初から、あのお姉さんが本気で参戦したら諦めようと思ってたんです。間違っても勝ち目なんかなさそうですから」
「あのお姉さんって、それ、宮沢りょうのこと?」
 流奈は眉を寄せていた。「あんた、年上を誰もかれもお姉さんって呼ぶの止めなさいよ。微妙に不愉快だし、意味がわかんないから」
「じゃあ、流奈さん。流奈さんも諦めたほうが賢明だと思うけどな」
 笑うように真央は言った。むっと流奈は眉を寄せる。
「私の本命なんて知らないくせにえらそうなこと言ってんじゃないわよ。だいたいあんたのアンテナなんて、なんで私が信じなきゃいけないのよ」
 一気にまくしたてた流奈は、頬をマッサージする手をとめて、鏡越しの真央を見上げた。
「……もしかして、宮沢さんが参戦したの?」
「宮沢さんのことまで私は知りませんよ」
 つん、と真央は顎をそらす。
「てか、不愉快すぎて考えたくもないです。同じ年になったら、絶対真央の方が美人になるのに」
「はぁ?」
「……参戦を待たずに、もう持って行かれてるんだもん。流奈さん、気付いてました? 今日、着物姿の宮沢さんが現れた時、晃司君一人だけが全然普通な顔してたんです。おかしいでしょ、不自然でしょ、真央でさえ、一瞬見惚れちゃったのに」
 振り返る真央を、流奈は再び顔をマッサージするふりでやり過ごした。
「……で?」
「あれはね、無意識に勝ちに行ってるんです。ねじ曲がった愛情表現だけど、相手に絶対に屈服したくないっていう、晃司君なりの意地ですよ。それがもう無意識で無自覚なんだもん……なんだかもう、バカバカしいっていうか、どうでもよくなっちゃった」
「それを恋って……いっていいのもかしらね」
「負の感情なんて、だいたい殆どが強い愛情の裏返しですよ。人生勉強たりないね、流奈さん」
 ひゅっと飛んできたカーラーを、真央は首をすくめて器用によけた。
「まぁ、流奈さんの場合、まだ勝負の土台にも乗ってないんだけど」
「は? あんた何言ってんのよ」
 再び飛んできたカーラーを、真央は苦笑して受け止めた。
「乃々子さんもそうですけど、回りくどい真似したって、本人、ちっとも気付いていませんよ。晃司君が好きなら、はっきりそう言ったほうがいいと思います。本当に手遅れになる前に」
「…………」
「ま、もう手遅れだと思ったから、真央は降板するんですけどね。来週からまた合コンに精出さなきゃ。若くて綺麗な時なんてあっと言う間ですから!」
「百瀬さん、いつまでトイレに行ってんのかしら」
 聞こえないふりで流奈は呟いた。
 今、自分が受けた深い動揺だけは、この生意気な女子高生に知られたくなかったし、真央もそれを心得ているように、それ以上何も言わなかった。
 
 *************************
 
「甘っ……果歩、これ、砂糖の分量間違えてない?」
「レシピ通り……って、少し疲れてたから、2回入れたかもしれない」
 言い訳みたいに果歩は言って、指で砕いたチョコレートの欠片を口に含んだ。
 りょうの言うとおり、それは胸にしみるほど甘かった。
「ま、愛情だけは過剰に伝わると思うけどね。全部食べさせるのは拷問ってもんよ」
「ひどい、そこまで言わなくても」
 それでもりょうは、ぽつりぽつりと砕いたチョコレートを口にしてくれた。
 2人は壁に背を預けて並んで座り、お互い、しばらく無言だった。
「見合いしようと思ったのは、……してもいいって思ったのは、もう逃げるのに疲れちゃったからかな」
 りょうが、やがて口を開いた。
「逃げるって、何から……?」
「自分の過去の何もかもから。逃げたくて逃げたくて、必死になって肩肘はって生きてきたけど……どこまで行っても、逃げることなんてできないって気づいたから。だって毎朝鏡を見たら、いつもお母さんの顔があるんだもんね」
「…………」
「どうせ、自分を貶めることしかできないのなら、落ちるところまで落ちてしまおうと思ったの。そうすれば、少しは楽に生きられるような気がしたから。私の糸も……もう限界だったのかな」
 りょうは、自分の手を見下ろした。
 右手の中指に、赤い筋が走っている。
「私と果歩は違う―― 私はずっとそう思ってた。どうやったって、私は果歩には敵わない。果歩だけじゃなく、他の誰にだって敵わない。……私は、人として不完全だから」
 ―― りょうは不完全じゃないよ。……完全でもないけど。
 果歩は心の中で思っている。
 完全な人なんてこの世界にはいない。
 でも、他人から見ればあり得ないそのコンプレックスは、りょうにとっては―― 自分の存在価値に関わるほど、大きなものだったのだろう。
 果歩は否定する代わりに、りょうに寄り添うように体重を預けた。
 大丈夫―― 今は、りょう自身が、自分でそのことに気づいているから。
「果歩の言うとおりよ」
 前を見たままでりょうは言った。
「今日は、本当は怖いから傍にいて欲しかったの。私が私でなくなっても、果歩が傍にいてくれれば、なんとかなるような気がしたから」
「りょうはりょうだよ……」
 果歩は胸がいっぱいになっていた。
 あの時のりょうは、それほどまでに私を頼っていてくれたのに……私は……。
「……ごめん、私、自分のことばっかで、りょうに何もしてあげられなかった」
「してくれたじゃない」
 訝しんで顔をあげる果歩を、りょうはいたずらっぽく笑んで見下ろした。
「今、私が全部話してるでしょ。墓場まで持って行こうとしていた秘密を」
「…………」
「無自覚だったけど、私、ずっと自分だけの世界に閉じこもっていたのかもしれないね。外に出るのが怖かったけど、そこに果歩がいてくれるって判ったから」
「…………」
「だから、出られたんだと思うな。……ありがとう。今回一番の無自覚な馬鹿は、間違いなく私よ」
 ―― りょう……。
 りょうは、感傷を避けるように微笑して立ち上がった。
「とはいえ、最後まで自分が馬鹿だって自覚できない私を、ぎりぎりで止めてくれたのは、また別の人だったんだけど」
「……え?」
 りょうは視線を窓の外に移し、どこか遠い眼になった。
「……あの時、私、本当を言うと別の人がそこに立っているような気がしたんだ。彼と私は、子供の頃から互いを殺したいほど憎んでいたけど、――今思えば、いつだって最後の最後で、彼が私を助けてくれたような気がするから」
「……誰の話?」
「独り言よ。―― きっと私、どこかで白馬の王子様の登場を待っていたのね。王子様っていうより、私をとことん追い詰めた悪魔が、いつもみたいに土壇場で後悔して私を助けにきてくれるのを。でも現れたのは別の人だった。その時、自分を縛っていた鎖が解けたのかもしれないわ」

 


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