「繋がらない……携帯、切ってるのかしら」 りょうは、眉をひそめて携帯電話を閉じた。 「もしかして、拉致られた? いくらなんでも、息子の同僚相手にそこまでするとは思わなかったんだけど」 長瀬は無言で、自身の携帯を取り上げた。 二宮家の敷地内。りょうと長瀬は、エントランス前の広場に停められた車の前に立っていた。 追い立てられるように会場から押し出された2人は、たちまち外に連れ出された。 玄関前には、すでに黒のレジェンドがつけられていて、――つまりは、このままお引き取り願いますと、そういうことらしかった。 特段、詰問されるわけでもなければ、恫喝されたわけでもない。監視がついているわけでもなければ、今も、2人の行動に指示を出す者は誰もいなさそうだ。 かえってそれが不気味な気がして、りょうは再度携帯電話を耳に当てた。 ――果歩……。どこに消えちゃったのかしら。 目的は果たしたが、もちろん、果歩抜きで帰れるはずもない。果歩だけが、あの騒動の最中別の場所に引っ張っていかれて、それきりどこからも出て来ないのだ。 「これは……多分、無駄ですよ」 長瀬の声がした。 「どういうこと?」 「おそらく、この地域一帯に、なんらかの妨害電波が発生しているんですよ」 「妨害――?」 りょうは目を丸くしていた。冗談でしょ――ここって一体、どういう世界? 「ここは、ある種の治外法権地区なんです。以前調べたとき、地元民の噂を聞いたことがある。日羽山の向こうには異国の城があって、迷いこんだら二度と生きては戻れない。おまわりさんも、あの山の住人には手が出せない。――そんな風にさえ言われている場所なんですよ」 長瀬は携帯を畳み、それをポケットに滑らせた。 「とにかく、事情を聞いてきます。交通手段もないのに、的場さん1人を置いて帰るわけにはいかないですからね」 「私も行くわ」 「いえ」 長瀬は素早く遮った。 「今のような場合、むしろ2人で動いた方が、警戒されると思います。宮沢さんは車の中にいてください。その方がいい」 修羅場慣れした男は、すぐに踵を返すと、再びエントランスの中に入っていった。 ――なんて頼もしい……。 とはいえ、一民間人の敷地内で妨害電波って、どういうこと? 警察も手が出せない治外法権区域。本当に、とんだところに来てしまったらしい。 ――まぁ、とって食うつもりなら、とっくにそうされてただろうけど。 りょうは車の傍らに立ち、煙草を唇に挟んで火をつけた。 それにしても、今の状況を抜きにして考えると、ここは結構いい場所だ。済み切った空気に、遠景に見える美しい山の稜線。本当に都内の光景だろうか、――と、ふと錯覚を覚えてしまうほどだ。 ただ、数日滞在する観光地としては、確かに素晴らしい絶景だろうけど、こんな山奥に閉じ込められて生活するってどうなんだろう。 下界の常識とは何もかも違う異世界で―― そこで育つ子供って、一体、どんな大人になるんだろう。 背後に車が停まったのはその時だった。 煙草をくわえたまま振り返ったりょうは、目を見開いていた。 そんな――まさか――でも――。 りょうの前で、運転席から飛び出してきた運転手が、後部座席の扉を開けた。 「あまり時間はございませんよ」 「大丈夫だ。すぐに終わるよ」 車から出てきた人が、りょうを見下ろし、わずかに微笑んで目礼する。 不可解にからまっていた鎖が、今、解けた。 それでもまだ信じられず、りょうは、呆けたように、その場に立ちつくしていた。 ************************* 「本当に馬鹿な人だこと。冗談じゃありませんよ。大切な息子の晴れの日に、とんだ妨害をしてくれて、一体どう責任を取るおつもりなの」 「……すみません」 果歩にはそれしか言えなかった。 「ああ……吃驚した。そしてどうしてこの私が、その馬鹿げた後始末をしているのかわかりませんけれど」 薄緑の和服を身につけている人は、暑そうに――けれど優雅に、扇で自身をかろく扇いだ。 果歩はただ、ひたすら恐縮して緊張していた。 そして、目の前を歩く人の後について、どこにいくかも判らずに歩いている。 その人と果歩が会ったのは一度だけだ。しかも、車のウインドウ越し。 ――藤堂さんの、お母さん……。 それと判った時の驚きときたら、背筋に、冷水をいくら流されても足りないくらいだった。 一度会った時も思ったが、なんともいえない貫録がある女性である。切れあがった細い瞳。厚みのある艶めいた唇。凄味のある美人だが、それでいて緩いオーラを悠然とまとっている。 たとえていえば――たとえは悪いが――上品すぎる極妻、といったところだろうか。 同性の果歩でさえ、そそられるような美貌なのだから、若い頃は相当だったのだろう。 ふと果歩は、母に対して申し訳ないと言っていた、かつての藤堂の言葉を思い出していた。 「乗って」 屋敷の内門を出ると、そこには白い車がつけられていた。国産だが、そこそこグレードのある車である。 「は、はぁ」 逆らうことも、その意図を聞くこともできず、果歩はおずおずと、藤堂の母について、後部シートに身を入れた。 「家までやってちょうだい」 それだけを運転手に指示すると、藤堂の母は、ゆったりとシートに背を預けた。 ――家? 果歩は、初めて、このままではまずいことになると理解した。 どうせ反対されるか、別れるよう説得されるのは判っていたが、少なくとも、りょうと長瀬さんのことだけはなんとかしないといけない。 「あ、あの……。待ってください。私、友人と来ているんです。その友人に断らないと」 「ご友人2人なら、もう帰されているでしょうよ」 あっさりと、藤堂の母は言った。 やや語尾が掠れた柔らかな声は、演歌歌手のように聞き心地がよかった。 「ああ……紹介がまだでしたね。瑛士の母です。それはもうご存じかしら。藤堂佳江と申します」 「……的場、果歩です」 果歩は、再びおずおずと頭を下げた。 佳江は、艶めいた唇から、疲れたような吐息を吐いた。 「あなたが、どこまで理解して乗り込んで来られたかはわかりませんけど、もちろん喜彦さんは、全てを承知されていたのでしょうよ。でなければ、あなた方が邸内に入って来られるはずがありませんものね。――ただ、それでも、何かが、あの方の想定を裏切ったのでしょう。あの方には珍しいことに、ひどく面白がっておられたようですから」 「そうなん……ですか?」 あの混乱の場で、果歩には、藤堂の義父の反応まで窺う余裕はなかった。 それどころか、当の藤堂の反応さえ判らない。あの時、藤堂さんは――どんな顔で、私の声を聞いていたんだろう。 「何もかも知っているということは、何も驚くことがないということなんですよ」 ゆっくりと、含めるように佳江は言った。 「あの家の人たちは、みな、そういう環境下で生きていくしかない運命を背負っているんです。瑛士も、あの子の父親もね。だから私は、瑛士が自分の意思で家を出たことは、とてもよいことだと思っています」 「……ご養子に出されたのは、お母様の本意ではなかったんですか」 口に出した直後、余計なことを言ったと気づいたがもう遅かった。 車は既に、外門を出て、山道を緩やかに滑り降りている。りょうと長瀬のことが気になったが、当の自分がこうして無事に脱出できたのだから、付き添いの2人なら大丈夫だろう。 ただ、これから、どうやって自分が灰谷市に帰るかだけが問題ではあるが――。 「もちろん、私の本意ですよ」 佳江は細い目を鋭くさせて、膝の上で指を組んだ。 「瑛士がもって生まれた血は、私にどうこうしてやれるものではないですからね。全てはあの子が選択し、決めることだと思いました。だから私は、あの子に選択する機会を与えることに決めたんです」 聞かれた質問が癇に障ったのか、ひどく冷やかな口調だった。 それも、無理もない反応である。そもそも果歩は、自分がどういう立場でこの人と接していいか判らないのだ。なのに、いきなり踏み込んだことを聞いてしまった。 「……すみません、余計なことを言って」 異常事態での再会とはいえ、これで第一 ――いや、第二印象はますます最悪になったに違いない。 「余計な質問なら、私は、答えたりはしなかったでしょうよ」 佳江は再び、扇子を開いて、自身を扇いだ。 「え……?」 「あなたには、瑛士を知る権利があると思ったからお答えしたまでのこと。つきあっているんでしょう? うちの息子と」 「…………」 それは――。 ついこの間までは、確かにそう思っていたけど、今は――。 その時、携帯電話から軽快な着信メロディが鳴り響いた。「中高年、中高年、あなたも私も中高年」ぎょっとした果歩は、やや意外な感に打たれつつ、携帯を優雅に耳に当てている人に目を向けた。 すっかり忘れていた――この人には、意外とコメディチックな一面があるんだった。 「ええ、大丈夫です。ひとまずうちに連れて帰るわ。私の方も、色々お聞きしたい話がありますからね」 相手は誰だろう――それまで冷たかった佳江の横顔が、少しだけ柔らかくなっている。 てか、うちに連れて帰るって――もしかして、私のこと? 「代わりましょうか? ……あら、いいの?」 佳江の目が、その刹那果歩に向けられる。 「それはいいけど……私の口からは言いづらいわね」 果歩はようやく、彼女の電話の相手が、息子の瑛士なのだと気がついた。 そして今、藤堂の口からは言い難い何かを、彼女は伝言されたのだ。 「そ、じゃあね。あなたも大変でしょうが、頑張りなさい」 果歩の動揺だけを残し、あっさりと電話は切れた。 電話――。 藤堂さんから。 お母さんにはしても、私にはしてくれない。どころか、電話を代わろうともしてくれない……。 それきり佳江は取り澄ましたように黙り込み、果歩に、何も話さない。 「あの……私」 膝の上で、手を握り締めながら、果歩は言った。 よく判った。 今の仕打ちが、藤堂の出した答えなのだ。 悔しさとも悲しさとも違う。胸にぽっかりと穴が空いたような不思議な感覚。 雄一郎の結婚を知った時もそうだった。果歩はよく知っている。本当の辛さは、遅れてやってくるものなのだ。 彼のいない現実が、日常になった時に。 唇の震えを懸命にこらえ、できるだけ平静通りの声で、果歩は言った。 「色々とありがとうございました。……私、灰谷市に帰ります。申し訳ないですけど、どこか、車の拾える場所で下ろしてもらえませんか」 「どうして?」 ほつれた髪を指で優雅に直しながら、佳江は不思議そうな声を出した。 どうしてって――。 「役所は、日曜はお休みではなかったかしら。今夜はうちに泊りなさい。灰谷市には、明日戻ればいいじゃない」 「それは――無理です。そんな……」 果歩は困惑して、うろたえながら視線を彷徨わせた。 もう、勘弁してほしい。 こんな夜に、どうして彼の母親の家に泊ることなどできるだろうか。 「瑛士を、連れて戻るんでしょう?」 はっと、果歩は眼を見開いている。 「瑛士も明日、帰ります。そうしたらあの子の車で、一緒に灰谷市に帰りなさい」 「…………」 呆けたように顔を上げた果歩を、初めて佳江は優しい微笑で振り返った。 「よく、あの子の頑丈な顎に、母親の私がいれようと思っていたカウンターパンチを食らわせてやってくれたわね」 は…………はい? わ、私の聞き間違い? カウンターパンチって……。は? 「あれは、完全に急所に入ってたわね。あの子のガードは鉄壁なのに、よくもまぁ、ああも見事に打ち破ったこと」 ほほ……と楽しそうに佳江は笑った。 「おかげで、目が覚めたんでしょうよ。ここ数日の夢の中から」 「あの、どういう意味ですか、それは」 佳江のぶっそうなたとえが、全く判らない果歩である。 「それだけ、厄介な家だということよ。二宮家は」 ふっとその横顔に影が差す。 「瑛士はあの家に、大きな落し物をしているのよ。……香夜さんはそれをよくご存じだったんでしょう。香夜さんはいい子だし、2人が結婚してくれたら、と思った時期もあったのだけど」 ふっと佳江は息を吐いた。 「今回のことでよく分かったわ。香夜さんは……瑛士とでは幸福になれない。……それは、瑛士だって、よく判っていたような気がするけれど」 意味はよく分からなかったが、果歩に、それ以上聞き返すことはできなかった。 実際、佳江の呟きは、果歩が内心、ずっと疑いつづけてきたことでもあった。 そう――多分、香夜は、藤堂を本当の意味では愛していない。 多分、藤堂もそれを知っている。なのに何故、彼は香夜と結婚しようとしていたのだろうか――。 ************************* 「……あなただったんですか」 りょうは、煙草を唇から離しながら、言った。 あまりに意外な人物にこんな場所で出会ったことに、まだ、動揺は続いている。 果歩は――? 果歩は、このことを知っていたの? 「お久しぶりです。宮沢さん」 真鍋雄一郎は、静かな声音で、短くそう挨拶した。 「……おひさし、ぶりです」 警戒を解かないまま、りょうは相手から目を逸らさずに頭を下げた。 真鍋雄一郎。 灰谷市長。真鍋正義の実子であり、8年前は、役所でもっとも女性の関心を買っていた男である。 プリンスと呼ばれた彼は、実際に灰谷市の王様、真鍋市長の王子そのものだった。 女性でもかすむほどの美貌と、恵まれた体格。優れた頭脳と財産、そして権力――何もかも持ち合わせた真性のサラブレッド。 多分、8年前の、少しばかり世の中を斜めに見ていたりょうには、最も嫌いでお近づきになりたくないタイプだった。 が、よりによってその男が、大切な友達と恋愛関係に陥ってしまったのだ――。 「お礼を、申し上げたほうがいいのかしら」 冷静さを取り戻して、りょうは言った。 それだけで理解したのか、雄一郎は無言で微笑する。 仕立てのいい外国製の黒のスーツ。おそらくは来賓として訪れたのだろう。来たところなのか帰るところなのかは知らないが、当然、予想してもいい事態だった。ここには、日本を代表する企業のトップが集っているのだ。 果歩がここにいないことを、幸運と思うべきか―― 笑顔で顔を上げながら、りょうは続けた。 「うちの旅館を助けて下さってありがとう。ようやく何もかも腑に落ちました。議員に圧力をかけたのも、あなただったんですね」 雄一郎は答えない。涼しげな微笑は、この会話を面白がっているようにも冷めているようにも取れる。 あれから8年。彼の容姿は、殆ど昔のままだった。何ひとつ遜色のない、奇跡のように守られた美貌――しかし、印象はどこか違う。どこだろう……何が。 「でも残念なことに、見返りは何もあげられそうにありません」 彼を注意深く観察しながら、りょうは続けた。 「一体、なんの目的があっての、過剰なご親切だったんでしょう。果歩への贖罪のつもりですか? だったらまるで、意味がない施しだったと思いますけど」 「果歩というのは的場さんのことですか」 男が、少し意外そうに口を開いた。 「何故僕がそんな真似をする必要があるのか分かりませんが、それは全くのお門違いだ。もし彼女がそんな誤解をしているなら、どうぞあなたの口から否定してください」 さすがにりょうはむっとした。 なにこの男。果歩には悪いけど、ある意味想定通りの最低野郎だ。無垢な処女から未来の何もかもを奪った挙げ句、さっさと金持ちの女と結婚したクズ男。 果歩がいまだこの男を忘れられないでいることが、りょうには歯がゆくてしかたない。 「果歩は何も知りませんし、もちろん私から言うつもりもありません。そこは、ご心配いただかなくても大丈夫ですから」 「安心しました」 雄一郎は微かに苦笑して、感情のこもらない目を別の場所に向けた。 「本当のことを言えば、僕が貸しを作りたかったのは、あなたなんですよ」 「……私?」 「あなたは僕の過去を知っている数少ない人間の一人ですから。――そして余計なことを知る力を持っている。いわば未来の口封じとでもいうのかな」 「口封じ」 これまで役所で耳にした噂を総合すると、合点がいくことはいくつかあったが、それでも腑に落ちない言い訳だと思った。だいたい未来の口封じって、何? 「ごめんなさい、私の頭が悪すぎるせいか、意味がよく分からないんですけど」 「では、その悪い頭でよく考えみてください。ひとつヒントを差し上げれば、今後あなたは、僕に関して――僕の意に沿わない発言は一切できないことになる」 「あら怖い。でも、うっかり口がすべっちゃうかもしれませんよ。女って案外口が軽いものだから」 「ご自由に。僕に軽い口を塞ぐ権利はありません。でも、今度はどうやって借金を返すつもりですか。石川議員ならもう二度とあの旅館に関わらないと思いますよ」 自分の耳が、熱くなるのがりょうには分かった。恥ずかしさではない、怒りでだ。 冷淡な目のままで男は笑った。 「ご理解いただけましたか」 男の態度に、つけいる隙はわずかもない。そしてりょうは、言いなりになるしかない自分を理解した。一体目の前の男の真意がどこにあるのかは分からないが。―― 微かな悔しさを噛みしめながら、りょうは改めて男に向きなおった。 「それでも、一応お礼は言わせてください。……旅館の件も、その中で起きた事件の後始末も、……ありがとうございました」 そして言葉を切って、一番踏み込みたくなかった場所に、踏み込んだ。 「的場さんには、もうお会いになりました?」 「いいえ。何故?」 雄一郎は、静かな微笑を口元に浮かべる。 「さきほどの騒ぎを、てっきりご覧になられたんだと思いまして」 「残念ながら、僕は今到着したところです」 「彼女なら、まだ中にいると思いますよ」 「そうですか。では、退散した方が無難かな」 りょうは、わずかな感情の震えを、握った拳で押しやった。 「……別に退散されなくても、的場さんはなんとも思わないと思いますよ。なにしろ彼女は、今、別の恋に夢中ですから。あなたのことは、最悪の経験として多少のトラウマになっていますけどね」 「それは若干の責任を感じるな。――では僕は時間があるので、これで」 りょうの皮肉を笑顔で流すと、雄一郎は丁寧にお辞儀して、再び車に乗り込んだ。 走り去る車を、りょうはなんとも言えない憤懣を抱いたままで見送った。 恐ろしく嫌な気分だった。それでもあの男は、りょうにとっては足を向けて眠れないほどの恩人に違いないのだ。――今となっては。 分かっているのは、今の果歩を、絶対に彼に再会させたくないということだけだった。 心優しい親友が、あんな裏切られ方をしてもなお、初めての恋人との思い出を、宝物みたいに大事にしているのはよく知っている。 去年の秋、真鍋雄一郎の名を役所の幹部連中の口から聞いた時から、嫌な予感はしていたが……。 「果歩……あんた、4月に本庁を出た方がいいわよ。絶対に」 その警告はもちろんのこと、今日のこの邂逅さえ、果歩に告げることはできないのだ。この先、彼のどんな真実を知ろうと、絶対に。 自分がひどく重たい荷物を背負ってしまったことを、りょうは、今さらながら思い知っていた。 |
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