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年下の上司 story17〜After February@

彼の何もかもを(1)

 
 
「本当に、申し訳ありませんでした」
 藤堂が深々と頭を下げるので、果歩も慌てて頭を下げていた。
「ご、ごめんなさい。でも、さっきも説明したけど、別に私たち、やましいことは」
「あんたを信用したのは、どうやら早計に過ぎたようだな。藤堂さん」
 父――的場憲介が、重苦しい口調で、果歩の言葉を遮った。
 的場家、玄関。
 午後8時少し前。
 玄関で、まるで叱られた小学生みたいに並び立つ2人の前には、的場夫妻が立ち塞がっている。
 その背後には、不安そうな顔をした妹の美玲がいる。
 が、その表情が見せかけだけのもので、この好奇心旺盛の妹が、今の状況をかなり面白がっていることを、果歩はよく知っていた。
 はぁっと、憲介が、大袈裟な溜息をついた。
「今でも俺には信じられない。結婚前の男女が、まさか泊りがけの旅行に行くなど――」
「しかも、嘘までつくなんてねぇ」
 その隣で、母が目を赤くして首を振る。
「りょうちゃんから電話があった時には、まさかと思ったわよ。その前に果歩から、りょうちゃんと2人で一泊して帰るって電話があったから。それが、まさか……」
 ――りょう……。
 長年持ちつ持たれつだった(持たれてばかりだったのかもしれないが)りょうの裏切りが、果歩にはまだ信じられなかった。
 どうして、話をあわせてくれなかったのよ。いつもだったら、あうんの呼吸で空気を読んでくれるのに!
「いくら電話しても出ない。昨夜一晩、私たちがどれだけ心配したか、お前たちは本当に判っているのか?」
 いや、それは電波が届かない、というよりその間私たちは、日本の治外法権地区に閉じ込められていたといいますか。――
 藤堂さんは毒を盛られて(実際はただの粉だったけど)殺されかけたし、私も私で、ライバルとの鬼気迫る対決(実際は話を聞くだけだったけど)の最中、とても電話に出られるような状況では――
 果歩は額を押さえて首を振った。駄目だ。本当のことを話しても、絶対に信じてもらえないに決まっている。
 果歩にしてみても、今となっては昨夜の出来事をどう説明していいか判らない。
 全てが、別の世界の出来事のように現実離れしていて、たった一日前のことなのに、何もかもが夢だったみたいだ。
「果歩、何をぼんやりしている! お前は、自分が何をしでかしたのか判っているのか?」
「は、はいっ」
 父の厳しい声が、果歩を現実に引き戻した。
「本当に申し訳ありません。でも悪いのは的場さんではなく、僕なんです」
 ――藤堂さん……。
 荷物をマンションに運んでくれたばかりに、この惨事に巻き込まれた藤堂は、気の毒なほど謝り通しだった。
「僕の母が無理に引きとめてしまって、的場さんも随分困られたんだと思います。ご自宅への連絡は、僕の、全くの失念でした。ご心配をおかけして、本当にすみませんでした」
「ち、違うの。本当に藤堂さんは無関係だから」
 その藤堂への申し訳なさから、果歩も急いで言い訳している。
 まさか藤堂家へ宿泊するに当たって、家に嘘の電話をいれていたとは、藤堂もその母の佳江も知らなかったろう。
 なのに、こんな形で迷惑をかけることになって、本当に申し訳ないというか、情けないというか……。
「本当に藤堂さんは何も知らなかったの。ぜ、絶対に反対されると思って、私が、勝手に嘘ついただけなの。本当にごめんなさいっ」
「いえ、僕が直接電話なりをすべきでした。本当にすみませんでした」
 沈黙。
「まぁ、……もう、済んだことは仕方ないけど」
 果歩がおそるおそる顔を上げると、母が気まずげに傍らの父を見上げていた。
「あがってもらいます?」
「駄目に決まっているだろう!」
 吐き捨てるように憲介は言った。
「藤堂さん、悪いがあんたと果歩は当分の間交際禁止だ。何度も言うが、嫁入り前の娘を家に泊めるなど――わしは絶対に許さんからな!」
 
 *************************
               
「へー、そりゃよかったじゃない」
 りょうは平然と言って、煙草の煙を吐きだした。
 翌日――昼休憩の屋上である。
 果歩はただ唖然とし、りょうは呑気に煙草を唇に挟みこんだ。
「そういえばさ、また煙草が値上がりするって聞いた? 吸う場所ないわ。税金高いわ。ほんと、喫煙者と子供に理解のない国よね。日本って」
 それ、そもそも同列にすること自体間違ってると思うんだけと。
 いやいや、今は、そんなことを議論している場合ではなく。
 缶コーヒーを置いて立ちあがり、果歩はりょうに向きなおった。
「あのさ、一体どういうつもりよ。あの後、うちで私がどれだけ大変な目にあったか判ってる? 私だけでなく藤堂さんだって」
「まぁ、その前に言わせてもらうけどさ」
 フェンスに背を預け、りょうは冷やかな目で果歩をみやった。
「あの後――私がいうあの後は、土曜日、果歩がいきなり消えちゃって連絡もできなくなった後のことですけどね。あの後、私と長瀬さんがどんだけ心配して、どんだけ奔走して、どんだけ危険な橋を渡ったか――あんた、本当に判ってる?」
 はっ――と、果歩は息を引いている。
 そ、そう言えば……。
「ようやく電話が繋がったと思ったら、なんですか? 感動の再会シーンにお母さんらしき人の嫌味が被さるまで、全部丸聞こえだったんですけど」
 さーっと、蘇る記憶と共に、みるみる血の気が引いて行くような気がした。
「そ、その後は……?」
「切りました。電話料金の無駄だってようやく判ったから」
 よかった――と、胸をなでおろしている場合じゃない。
「ごっ、ごめんなさいっ」
 ふんっとりょうは形の良い鼻を鳴らした。
「にもかかわらず、果歩の応援を続けた私を、むしろ誉めてもらいたいわね。言っとくけど、口裏合わせなかったのは報復でもなんでもないのよ。いっそ、そうしてやりたくはあったけど」
 ――え……?
「あの……、じゃあ」
「一晩、藤堂君と一緒だったんでしょ」
 りょうの眼が、その日初めて優しくなった。
 その意味ありげな優しさが、妙に心に痛い果歩である。
 一緒にいたはいたけれど、多分、りょうが想像しているようなことは、全く――
「そろそろ、果歩の両親にも、子離れしてもらったほうがいいかなって。……いい子の果歩には逆立ちしたってできないだろうから、私がやってあげたのよ」
 何も言えない果歩の背を、りょうは優しい手で叩いた。
「心配しなくても、ぎくしゃくするのは最初だけだから。果歩のお父さんもお母さんも、すぐに判ってくれるわよ。あのお父さんのことだから、一日も早く籍を、とか言い出すんじゃない?」
 くすくすと楽しそうにりょうは笑った。
「で、とっとと籍でもなんでも入れちゃえばいいのよ。つまり私は、その布石を打ってあげたの」
 そうか、そういうことだったのか。――りょうの反応の不可解さは、これでようやく理解できた。
 つまるところ、りょう的には、2人の関係の後押しをしてくれたと――そういう腹積もりだったのだ。結果、とんでもない騒ぎになったとはいえ、本当に、なんていい親友だろうか。
「……りょう」
 少しばかり感動して、果歩はりょうの肩に抱きついている。が、りょうは何故か、表情を硬くして身体を離した。
「なに、どしたの?」
「ううん、なんでも。ちょっとした罪悪感――あ、これ独り言でーす」
「? ……?」
 なんだろう。今の、一体誰に言った?
「……? まぁ、とにかくありがとう……。でも、ぶっちゃけて言えば、まだ――なんていうか、その」
「その?」
 りょうが、ん? と眉を寄せる。
「多分、なんにも変わってないんじゃないですか? 的場さんと藤堂さん」
 蓮っ葉な声が、いきなり2人の間に割って入った。
 
 
「ていうか、藤堂さん。今、都市計画局では、南原さんとの争いに負けた憐れなピエロ状態になってますけどー」
 流奈だった。
 2月の終わり――屋上は、はっきり言って相当寒い。果歩にしても、りょうとサシで話がなければ、まず絶対に来なかった。
 りょうはパンツ、果歩はタイツの二重穿き(プラス、ヒートテック)だが、若さをこれでもかとばかりにアピールしている流奈は、信じられないことに膝上スカートの生足である。
「ああ、乃々子ちゃんのこと?」
 りょうが言うと、流奈は肩をすくめるようにして頷いた。
「あの藤堂さんが、百瀬乃々子にふられたみたいな? しかも南原さんに負けたとかいう屈辱的なおまけつき。冗談みたいな誤解ですよね」
「まぁ……その前の誤解が、ひどすぎたから」
 そう言う果歩にしても、流奈が言う噂は、少しばかり口惜しかった。
 乃々子がどうこういうのではなくて、あの南原に藤堂が負けてしまったと、そんな誤解が蔓延してしまったのが、なんだか悔しい。
 あれから中2日挟んだ水曜日。
 乃々子の妊娠騒動は、「実は私、南原さんと隠れてつきあってました」という――南原にとっても乃々子にとっても、実に気まずい形で収束を迎えた。
 いや、最も気まずかったのは、結婚祝いまでもらいかねない勢いだった藤堂だろう。
 が、彼は周囲の憐れみの視線もどこ吹く風。まるで何事もなかったかのように、休んでいた間の仕事を淡々とこなしている。
 とはいえ、昨日は珍しく定時退庁をしていたから、もしかすると、彼なりに居心地の悪さを感じていたのかもしれないが。
 ――それにしても、乃々子の二股疑惑だけは、絶対に晴らしてあげなくちゃ。
 果歩はぐっと拳を握りしめていた。
 正直いえば、果歩にもまだ乃々子の気持ちがよく分からない。あれだけあからさまに好きですオーラを出していた藤堂さんから、なんでああも仲の悪かった南原さんに乗り換えた?
 疑問は辿れば山のようだが、乃々子が、あたかも2人の男性と深いつきあいをしていたような、そんな不名誉な誤解だけは、解いてあげなければ可哀そうだ。
 元をただせば、それもこれも、藤堂が最初にはっきり否定しなかったから――
「てか、流奈、何しにきたの?」
 ふと我にかえって果歩は訊いた。
 なんで、流奈が昼休憩に屋上に?
 襟元が大きく開いたニットに、ひらひらのフレアスカート。言っては悪いが、おそらくは寒さで鳥肌が立っている。
「煙草です」
 つん、として流奈は答えた。
「えっ、流奈、煙草なんて吸ってたっけ」
「彼氏の影響、かな。最近付き合い始めた大学生。学生なんて興味なかったけど、意外に悪くないですよねー」
 ――え……?
 果歩とりょうは、同時に顔を合わせていた。
「それ、本当の話? 流奈、つきあってる人がいたの?」
「的場さん、目が輝いてますよ」
 冷めた目で切り返され、それが図星だったから、果歩は視線を泳がせていた。
「ほんと、31歳にもなって心が狭いったら」
 年齢部分をわざと強調させて、流奈はふん、と片眉をあげた。
「いっとくけど、リタイアとは違います。私、もう面倒なことに時間費やすのやめたんです。振り返りもしない唐変朴のせいで、せっかくの若さが台無しですよ。一番輝いている時期に、早くいい男をみつけないと。30過ぎて独身とか、私絶対いやですから」
 え、なにそれ、もしかしなくても藤堂さんに対していったセリフ?(後半は私とりょうにだろうけど)
 確かにあの人は唐変朴だけど、なにもついこの間まで熱心に追いかけていた相手に、そんな言い方しなくても――
 果歩はさすがに唖然としている。ライバルがばたばた消えていくのは嬉しいけど、流奈も乃々子もどうしたんだろう。
「どんな人?」
 意外にもそう訊いたのは、流奈のことなんか全く関心がなさそうなりょうだった。
「へぇ? 気になります?」
 流奈も思いは同じなのか、それにしても相当挑発的な態度でりょうに向きなおる。
「馬鹿で金持ちでイケメンで。遊びなれた風を装ってる割には、童貞でした。そのあたり、ちょっと面倒くさい男でしたけど」
 再び、りょうと果歩は顔を見合わせていた。
「巷で言われてるロールキャベツ男子? ってやつですか。奥手なくせに、一度キスしたらもうガツガツ」
「は、はい?」
 な、なにそれ、いったいなんの話。
 まるで意味が分からない果歩と違い、りょうはなんとなく納得しているようだった。
「つまり、あれじゃない? 一見草食なんだけど、一皮剥いたら肉食だった、みたいな。藤堂君がまさにそんな感じじゃない」
「は――はい?」
「言えてますね。ただ藤堂さんの場合、欲望に鈍いとかじゃなくて、自分で自分をキャベツでぐるぐる巻きにしてるって感じですけど」
「なお面倒くさいじゃない」
「藤堂さんほど面倒くさい人はいませんよ」
 なぜか果歩そっちのけで、うなずきあっているりょうと流奈。
「そんな面倒くさい人とおつきあいしてる的場さんって、本当にお気の毒。誓ってもいいですけど、10数枚はあるキャベツの皮は、まだ1枚か2枚くらいしか剥けてないですよ」
「果歩」
 りょうが、あらためて問うような眼で果歩を見た。
「あんた……昨日一昨日とで、本当に肉までたどり着けなかったの」
 果歩はぶっと噴き出していた。
「なっ、なによ、りょうまで身も蓋もない言い方しないでよ! いいのよ、あの人はキャベツのままで。わ、私、お肉より野菜が好きだもん」
「完璧、強がってますね」
「まずい。もう開き直りの境地に入ってるわ」
 2人の目が、本当に哀れなものでもみるように果歩に向けられたから、果歩は思わず後ずさっていた。
「これはもう、力づくでキャベツを剥がしていくしかないわね」
 腕組みをして、りょうが言った。
「何気に部屋に押しかけてみたり」
 流奈が、即座にその後を継ぐ。
「何気に食器を買い替えてみたり」
「何気に衣替えしてみたり」
「何気に貯金を管理したり」
 このあり得ないコンビの波状攻撃に、果歩はたじたじになりながら、さすがに声を荒げている。
「ぜ、絶対無理に決まってるじゃない! 晃司と違って、藤堂さんはしっかりしてるんだから」
 ふと、奇妙な沈黙が下りた。
「…………」
「…………」
 ――え……なに、この沈黙。
 不意に黙り込んだりょうと流奈は、互いにちらっと目を合わせてから、それを再び他所に向ける。
 え、なに、なんかへんだぞ。この2人。
「とにかく」
 最初に言葉を発したのはりょうだった。
「4月とか悠長なこと言ってないで、さっさと既成事実を作ることね。客観的にみれば、すごくおかしいことしてるわよ。果歩も藤堂君も」
「てか、りょうの方こそおかしいじゃない。こないだまで、藤堂さんは釈迦の生まれ変わりだから我慢しろとかなんとか言ってたくせに。なんなのよ、一体」
 りょうが、むっとしたように果歩を睨んだ。
「あの時と今じゃ事情が違うのよ。ぼやぼやしてる間に、肝心の肉まで溶けてなくなっても知らないんだから」
「だから、肉、肉って」
 その時、果歩のポケットの携帯が震えた。「あ、ごめん」
 急いで取り出して確認すると、着信は母、となっている。お母さん? 仕事中にかけてくることなんて、滅多にないのに……。
「もしもし?」
 果歩は携帯を耳に当てて、りょうと流奈から離れた。
  
 *************************

「親友とか言って、案外心が狭いんですね。それとも自信がないんですか」
 結局火をつけない煙草を指先で弄びながら、流奈がぼそり、と呟いた。
 りょうは片眉をあげて視線を彼女に向けている。
「なんの話?」
「あの時と今じゃ事情が違う――それ言った後、宮沢さん、珍しく、しまった、みたいな顏になってましたよね。失言ですか? それとも思わず口に出ちゃった本音?」
「………」
「晃司君と的場さんがよりもどしたら困るから? 案外姑息。がっかりしちゃった」
「………」
 ま、そういう誤解なら、解かないでおいた方が無難かな。
 りょうは嘆息して、耳の後ろを指で掻いた。
 その程度のくだらない理由だったらどんなにいいか。
 ――なぁんか、とんでもなく、嫌な予感がするんだよね。
 4月に例のあの人が現れるのは、いわば既定路線ではあったけれど、――そして、過去と勝負したい藤堂君の意図も判らないではないけれど。
「…………」
 なんだろう。真鍋雄一郎の、あの態度は。
 何を企んで、何をするつもりで灰谷市に戻ってくるんだろう。
 私への口封じは、間違いなく果歩絡みだ。何をする気か知らないけど、それが悪い意味で、果歩の気持ちを乱さなきゃいいんだけど――
 というより、目下の問題は、藤堂君と真鍋雄一郎に繋がりがあったということだ。
 それがこの先、何か重たい意味を持ってくるような気がしてならない。
「私と的場さんのお下がりですよ。しかも間違いなく、秘書課の女の手もついてるし」
 流奈の声で、りょうはふっと我にかえる。
 ああ、前園君の話、ね。
「そんな下げ止まり寸前の男に落ちちゃうなんて、案外安い女なんですね。しかもあの人、社会常識的な部分が思いっきり欠落してるから、結婚したって家のことなにひとつできやしませんよ」
「掃除は好きだって言ってたわよ」
 りょうが初めて反論すると、流奈はますます横顔を険しくさせた。
「それに、あの人、なんだかんだいっても、まだ的場さんのことが好きですから」
「…………」
「そう簡単に忘れたりできないと思いますよ。どうせ、2人の関係、的場さんには隠してるんでしょ」
 りょうの沈黙をどう思ったか、流奈は勝ち誇ったような目になった。
「私? 晃司君に直接聞いたから知ってるだけですよ。私と彼、なんでも話し合える仲なんです。へんに気があうというか、似た者同士というか」
「へぇ……」
「今思えば、セックスの相性もよかったですしね。淡泊そうに見えても体力あるから、持続力ありますし。あ、心配されなくても、もう私たち、とっくの昔に切れてますから」
 心配なんか、誰に対しても、してねーっつーの。
 本当にもう、この女ときたら――
「ごめん、長くなって。あれ、流奈はもう?」
 ようやく、携帯をしまいながら、果歩が駆け寄ってきた。
「用が済んだから降りたみたいよ」
「用?」
「さぁね。あんたよく、あんなの相手に、一年近く耐えてきたわね。マジでほとほと感心するわ」
「……なんの話?」
 果歩は、ぱちぱちと瞬きをする。
「なんでもない」
 りょうは、肩をすくめて歩き出した。
 何を言っても聞いても、流奈ちゃんの心は前園君でいっぱい、ですか。
 どうでもいいけど、私の優先順位は、まだまだ果歩が上なんだからね。
 どうでもいい。
「…………」
 りょうはふと、足を止めて考えていた。
 ――まぁ、そんな風に思う私も、多少問題、あるのかな……
 


                             
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